へんなタイトルの本だし、もともと「ケーザイ」の本は読まない方なので買う気もしなかったが、池田信夫ブログで推薦してあったので購入。読み応え十分で満足度120%。なによりも世界の経済学者達(少数だが複数)は、ずっとまえから金融バブル発生のメカニズムと今回の危機のメカニズムを理論的にきっちり解明・警告していたという事実に感銘を受けた。
大学で経済学を(それもマクロだけを)適当に勉強しただけの人には理解が難しいところもあるが(おいらもそうだが)ゆっくり読んでいけば明快な引き込ませる文章なので十分ついて行ける。数式なんか出てこないのも佳。おすすめです。
グリーンスパンの『波乱の時代(上下)』を読んでからこれを読むと、より面白いと思うよ。とにかく今回の金融危機でたいていの人はポートフォリオに重大な損傷をこうむっている。せめて、なんでこんなことになったのかを理解しないと死んでも死にきれないだろう。これは天災だと諦めたり、○○が悪かったからこんなことになったと勝手に犯人を決めつけたりすることは、野蛮人が「神様に生け贄を捧げなかったから洪水が起こった」と信じることと同じで科学的じゃない。この本はその意味で相当助けになる。
2 件のコメント:
こういう地道な研究やサーベイはもっと知られるべきですね。
マスコミや大衆向け言論界では、すっかり小泉+竹中構造改革に責任を押し付けるのが常識になってしまって、まともな検証がほとんど無いのは困ったものです。
規制緩和が自分たちの業界に押し寄せる前に潰しておきたいのでしょう。
おっしゃるとおり。こういう危機には、必ず「国難じゃ、古来の神をおろそかにして異国の神を祀った罰が当たった、ニッポン人は古来の神を崇めよ」という物部氏みたいな反動勢力が調子に乗ることになっています。でも最後は聖徳太子が現れてあいつらを成敗することになっているので、安心。
この本にサマーズがこの二三年で180度変身したことが書いてあって面白かった。観念論じゃなくてプラグマティズムこそ今求められていると思います。
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